Student Division Essay No.8 菊池祐さん

ABOUT ME

日本のIT企業のSEとしてヘルスケア業界のシステム開発に従事。アプリケーションの開発からクラウドのインフラ設計、データサイエンスまで幅広く経験を積む。2023年からUniversity of Washingtonでビジネス留学をするため渡米。大学ではグローバルビジネスやマーケティング、プロジェクトマネジメントを学び、留学と同時にシアトルにあるSIJPに加入。SIJPの活動を世の中に広めるため、Webサイトのリニューアルやイベントの企画運営をサポート。2024年7月からLAにあるIT企業でSoftware Engineerとして働く。

1. SIJPに入った経緯

もともとUWに社会人留学しようと思った理由の一つが、シアトルはITが盛んな都市であり、そこで働くエンジニアの方とコネクションを作ることでした。今まで日本のIT企業で働いてきましたが、世界と比べると日本のIT技術は遅れていると言われ続け、自分自身も世界とスキルの差を感じていました。なので世界で活躍するエンジニアの方と実際に交流し、今後自分が学ぶべきことやマインドを修正することが目的でした。

実はSIJPの存在は留学前から知っていましたが、Webサイトから活動をあまりしている印象はなく、また誰がいるかもよく分からなかったので、最初は入ろうと思いませんでした(笑)。そして留学に来てしばらく経った後、SIJPに加入したUWのクラスメイトから、SIJPの忘年会に誘われたのが最初のきっかけになります。そこでGoogleで働いているケンジさんをはじめ、世界で活躍する日本人がたくさんいることを知り、私もSIJPに入ることにしました。

2. SIJPでの活動

Webサイトのリニューアル

SIJPに加入後、SIJPはシアトルのITコミュニティ活性化を目的とし、ITに関するイベントやCS in English等、様々な活動を行っていることを知りました。このような素晴らしいコミュニティをもっと世の中にアピールしたいと思うようになり、ボランティアとして私ができることに取り組みました。

その一つがWebサイトのリニューアルです。私と同じようにSIJPの活動内容が分からず、加入するのをやめてしまったり、ためらっている人が意外に多いのでは?と思ったのがきっかけです。Wordpressの開発経験はありませんでしたが、今までの経験を活かし、Webデザインの変更からインフラ周りの整備まで実施することができました。Webデザインは以前から興味はあったので、SIJPの活動を通して、自分のスキルの幅を広げることができたのはよかったです。

SNSマーケティング

Webサイトのリニューアルだけでなく、SIJPの活動のアピールとして、InstagramやFacebook、X(旧Twitter)のSNS運用を再開することにしました。ちょうど大学の授業でもマーケティングを勉強しており、UWのクラスメイトでSIJPメンバーのAimiもSNSマーケティングに興味があるとのことだったので、一緒に活動することにしました。自分はあまり文章を書くのが得意ではなかったので、SNS運用は主に彼女が担当してくれたのですが、毎月フォロワー数が増え、半年で約50人フォロワーを増やすことができたのは彼女のおかげだと思います。大学の授業でSNSマーケティングを勉強するだけでなく、SIJPというコミュニティを利用して実践までできたことは、とても良い勉強の機会になりました。

イベントの企画・運営サポート

SIJP加入後の最初のイベントは、Microsoftのエンジニアとして働く牛尾さんの講演イベントでした。牛尾さんの著書「世界一流エンジニアの思考法」は、留学前から日本のエンジニア界で話題になっており、実際に一流のエンジニアの方にお会いし、イベントの運営にも貢献できたことはとても貴重な経験でした。そして牛尾さんの講演はたくさんの方が来られることが予想されたので、Webサイトのリニューアルもこの講演に間に合わせるように対応しました。イベントの開催とHPのリニューアルのタイミングを合わせることで、SIJPの活動をより世間に知ってもらえる機会になったと思います。

牛尾さんの講演後も様々なイベントのサポートを行いましたが、UWのクラスメイトでSIJPメンバーのYumiが司会としてイベントを上手くまわしてくれたり、Masaさんがオンライン・オフラインのハイブリットイベントを実現してくれたりと、一人ではできないところを各メンバーが補い合う形でイベントの運営が変わっていきました。そして、エンジニア向け面接対策を企画してくれたRioさんやGoogleオフィスツアーを企画していただいたTomoさん、お茶会を開催してくれるSakiさん、飲み会幹事をしてくれるMisatoさん等、SIJPのイベントがどんどん盛り上がっていくのが心地よかったです。

3. SIJPを通して学んだこと

SIJPの活動やイベントで出会ったエンジニアの方を通して、学んだことや自身のマインドの変化はとても大きかったです。主な気づきは以下の3つでした。

Giveの精神

正直、日本にいた頃はボランティアの経験はほとんどありませんでした。渡米してから気づきましたが、アメリカは日本と比べてボランティアが盛んであり、SIJPを通して ”Giveの精神” を学べたことは大きな気づきでした。仕事は一人でするよりもチームで協力することが多いので、ボランティアで得た気づきが、今後の仕事にも活かせると思います。前職の会社でも部下の育成やチームのパフォーマンス向上に努めてはきましたが、これからは会社の枠組みを超えた地域、そして国境を越えたボランティアにも積極的に参加しようと思っています。

GeneralistからSpecialistへ

シアトルはITのミートアップが盛んで、新しい技術を学び、積極的に情報発信しようとするマインドはとても刺激になりました。そしてSIJPを通してお会いした多くのエンジニアの方達は、人としても尊敬できるような方が多く、自分のスキルを磨くモチベーションに繋がりました。日本はGeneralistが求められることが多いですが、アメリカではSpecialistが求められます。GeneralistからSpecialistになるために、これからもスキルは磨き続けたいと思います。

挑戦する姿勢

何かにチャレンジするマインドもアメリカと日本で違うことに気づきました。日本は保守的な傾向が強いのでシステムのコアロジックは変えないことが多く、前職の部署でも20年前のCOBOLのロジックが今でも動いたままです…泣。一方でアメリカはパフォーマンスやメンテナンス性が上がる等、良い方向になるのであれば、コアロジックにもどんどん手を入れると聞いて衝撃を受けました。まずはこういった挑戦するマインドを持たないといけないと思ったのと同時に、リスクが高く難易度が高いことであっても、それに挑戦できる技術力も備えないといけないと改めて思いました。

4. SIJPでの活動を終えて

シアトルを離れるのは少し寂しいですが、今後はLAにあるIT系の会社でSoftware Engineerとして働く予定です。まずはOPTで1年間アメリカで働き、その後もグローバルな環境で働き続けたいと思っています。そして、今回の社会人留学やSIJPで私が経験したことは、日本のエンジニアの方達にも伝えないといけないと思うようになりました。日本に一時帰国した際は、まず前職で一緒に働いた方達に話をして刺激を与えたいと思います。そして日本がIT後進国と呼ばれないように、身に付けるべきスキルや変えるべきマインドなどを発信し、日本のIT復活に還元できたらと思っています。

5. 留学生へのメッセージ

シアトルに留学している方で、ITに興味がある方はSIJPに入って活動することをお勧めします。実際に日本のIT企業で働いてきたので信じて欲しいのですが、本当に日本では出会えないような方と知り合えるので、自分の価値観、将来のキャリアの方向性が変わるきっかけになると思います。留学生活もあっという間に終わってしまうので、ぜひSIJP通して充実した留学生活を送ってください!