鷹松弘章氏による採用側から見た転職・就職講座レポート

今回はマイクロソフトOperating System 部門のプリンシパルリードを務める鷹松弘章氏の講演会に行って来ました。今回も会場を提供してくださったBellevue Children’s Academy様、ならびにおいしいお茶をたくさん寄付していただいたスポンサーの伊藤園様、ありがとうございました。個人的には、ほのかなジャスミンの香りが漂うジャスミングリーンティーが絶品でお気に入りです。

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さてこの講演会は採用側から見た転職・就職講座ということで、実際に今までに何百人とエンジニアを採用し、採用プロセスの構築や面接官養成と教育を六年間行った実績を持つ面接採用のプロである鷹松氏が、求職者にとっては喉から手が出るような貴重なアドバイスをシェアしてくださいました。

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就職・転職前準備

転職の場合、まずは自分のキャリアの現状の見直しから始め(キャリア列車と呼ぶそうです)、いまのキャリア列車のスピードがどの程度なのかを理解することが重要だそうです。水が高いところから低いところに流れるように、人や物や流行やお金は五年くらいのスパンで変わるので、その流れを見極めて転職のタイミングを決断します。今までは転職というと「次は自分が何をしたいか、何を目標に進んでいくか」という自己的なことが中心だったのが、周りの流れも決断の要素として考慮すべきというのは勉強になりました。

仕事に応募する際には、公式サイトからの応募、コネからの応募、そしてリクルーターを通しての応募とさまざまな方法がありますが、やはり一番いいのはコネからの応募です。理由は採用側もまったく知らない人を採用するよりは、社員の誰かがすでに応募者を知っていて推薦してくれるほうが採用側としても安心してその応募者を採用できるからです。

そしていつも講演会のたびに言われているのが、日本人独特の謙虚さ。この謙虚さはアメリカでの就職ではむしろ邪魔になるので、日本人はもっと自分を売り込んで行きましょう!

レジメ

レジメで一番大切なのは、相手にどう読み取られるか意識して書くことだそうです。鷹松氏は、年平均採用レジメ閲覧数が四千から六千通にわたり、年平均面接回数は二百回から三百回、それ上さらに自分の仕事をこなしているそうです。この限られた時間の中で一通のレジメに目を通す時間はほんの少しで大体見ているところも同じなので、レジメにはシンプルかつ採用側が欲しがっているようなキーワードをちりばめると効果的です。お金はかかりますが、レジメを書くプロのレジメ屋を雇うのも一考です。

リクルーター

リクルーターとの関係も侮ってはいけません。リクルーターと丁寧にコミュニケーションをとることで、良い印象を与えて採用を有利な方向へ持っていったり、さらに本ポジションがダメでも他のポジションを紹介してくれる可能性があります。リクルーターも人の子、印象の良い人には親切にしたくなるのが人情です。

本面接

本面接をお見合いをなぞらえる鷹松氏。考えてみれば面接とお見合いは共通点がたくさんあります。お見合い(面接)では釣書(レジメ)を見て相手と結婚(採用)したいか・・・。実際に自分の素性(人間性・職歴)を知っている仲人や結婚相談所の人(リクルーターや採用会社の社員)がいればなお有利です。

お見合い中にお見合い相手がさまざまな質問の中で観察しているのが、「この人とこれから一生やっていけるかしら?」(学べる力があるか、一緒に考えて問題に取り組める人なのか)ということ。結婚と違って就職は一生のコミットメントはありませんが、毎日の大半を一緒に過ごす相手です。なのでお互いにそりが合うか、一緒に問題解決できる相手かどうか見極めることが重要になってきます。

そこで今回の講演会の肝となる、面接を完璧にするための流れをサラッとおさらいしましょう。

  1. 面接でテクニカルな問題を聞かれた場合、まず問題をよく聞き、問題の前提部分や相手の期待値などをクリアにするためにどんどん質問すること。ここで質問しなければ即不採用です。
  2. 次にボードで解決法を書く合間にも、自分が何を考えているのか説明します。書き終わったら自分の意図をまとめて話し、相手からの質問を受けます。
  3. 最後にもし間違えたところや知らなかったところがあれば素直に認め、相手からのフィードバックを聞きます。

このような質問をすることで、相手は応募者のいろいろな能力を測っているのです。

こうして上のように大まかに面接の流れを文章にすると簡単そうですが、実際には緊張している面接ではなかなか自分が思い描くようにうまく流れに沿って行くのは難しいかもしれません。なので鷹松氏が推奨するように、面接は場数を踏んだほうが圧倒的に有利になります。

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ランチインタビューの罠

丸一日に渡る面接の中休みとして面接官と一緒にランチをすることがありますが、ここでも決して気を抜いてはいけません!この時点では最初に面接した人からの情報がすでに三番目や四番目の面接官の下に落ちてきていて、一人目の面接官が教えてくれたことを聞いてくる可能性があります。このように応募者は学んだことを学習できているかどうかの再チェックが入るそうです。

面接後

もし期待どおりの返事が来なくても、次・次・次に進みましょう。結婚相手(就職先の会社)は一人(一社)しか見つける必要ないので、自分にピッタリの相手を見つけましょう!

採用側からの就職・転職講座ということで、会場からもさまざまな質問が飛び交い、鷹松氏だけでなく他社でも面接採用経験のある参加者からのアドバイスもあり、とても内容の濃い興味深い講座になりました。

さて次回は3月27日開催の我孫子泰祐さん講演会「ネイティブコードを語る。」です。お時間のある方は是非ご参加ください~!