Student Division Essay No.4 松本亜依さん

松本さん

松本亜依さんは大阪大学外国語学部外国語学科英語専攻に所属し、アメリカ演劇・文化を研究していました。大学3年生の時に、英語を習得したいという想いと、将来何をしたいか考えるためにビジネスを学びたいという想いから、1年間休学してアメリカとカナダに留学しました。コロンビア大学でアカデミック・イングリッシュを習得後、UCSDにてビジネスマネジメントを学び、その後Sprott Shaw Collegeでマーケティングとセールスの課程を修了しました。就職活動においては、上記で身につけたスキルを活かしながら自分の中にある好奇心を追求して働きたいと考え、IT業界を中心に見て活動を行いました。

 

自分にとって就職活動とは

私にとって就職活動とは、自分が幸せになれる場所を選ぶことでした。良い会社はたくさんあります。その中で、自分が幸せを掴むことができる場所はどこなのか。そもそもどういう状態が自分にとって幸せなのかということから、ひたすら考え続けました。ただ、今振り返ってみれば答えは自分の中にあって、どれだけ素直になれるかということが大事であったと思います。

就職活動を始めた時から、ある会社が頭の中に浮かんでいました。シンプルな、しかし、普遍的だと思えるビジョンのもと、その会社の事業は社会にインパクトを与え続け、私の生活に希望を与えてくれていました。社員の方々は楽しく自由に働き、互いを尊重しながら常にbetterを目指していました。その会社としての姿は私にとってまさに理想であり、私もその方たちと一緒にビジョンに向かって世の中を良くしていきたいと憧れていました。しかし、その憧れを語るには勇気が要りました。私は大学受験の際に挫折を味わい、そこから自信を取り戻せないままでいたからです。自分のように何も成し遂げていない人間が夢を語ったところで馬鹿にされるのではないか、自分のような人材をその会社は求めるのだろうかと不安でした。そのため理想を描きながらも、それを実際に目指すようになるまで時間がかかりました。

就職活動中はもちろん他の会社も見ていて、魅力的な会社にたくさん出会いました。ただ、自信がなかったため自分を曝け出さず、控えめに人と接して自分に嘘をついたまま企業を受けに行っても、結果は惨敗でした。半ばやけっぱちになり、ある企業の選考で自分の魂から込みあがる思いをぶつけてみました。すると、そこから不思議なほど他社の選考も含めて通過するようになりました。選択肢が増えていく中で初めて、自分は選ばれるだけではなく自分の中に判断基準を持って選びに行くのだと自覚しました。そこから初めて、自分の幸せのために就職活動を進められるようになりました。憧れがあるのに、なぜそれを目指さないのだろう。いま人生で夢を見ることをやめたら、いつ夢を描くようになるのだろう。今、挑戦するしかないと思いました。

 

その憧れを持っていた会社に応募し、選考を重ねるたびに祈るような気持ちでした。もちろんその会社について調べて理解を深め、社員の方々とお話しさせていただいて準備はしていました。自分の思い描いている理想像とのズレや、応募している職種で求められていることを自分がいかに満たしているかを熟知して選考を受けていたのです。結果として、その会社から内定を頂くことができました。夢が叶って嬉しい、安心した、さて、ここからどのような人生を描いていこうかとやる気に満ち溢れました。それと同時に、いわゆるマリッジブルーのように、本当にこの会社でいいのだろうかと悩みだしました。約1ヶ月間も悩み続けることになります。

ミスマッチの原因となる不確定要素を出来るだけ減らそうと、そこからさらに社員の方々とお話しさせて頂きました。日頃就活に携わり、キャリア選択にアドバイスをくれるような人にも相談してみました。人それぞれ、私のことを想っていろいろなことを教えてくださいます。しかし最終的にその会社で働くという決断に至らせたもの、それは原点に立ち返って、憧れでした。自分の心をここまで掴むもの、きっとこれを自分は望んでいるのだろうと思いました。自分の成し遂げたいことや働く環境も全て鑑みた上で、ここで働こうと決心しました。確かに働きだしてみて分かることも多いでしょうし、キャリアや幸せについての考え方も変わっていくとは思いますが、今の自分にとってはこの選択がベストであり、また、そう思えるように入社してから自分が誇れる結果を残そうと思っています。

 

就職活動に役に立ったこと

繰り返しになりますが、私は就職活動とは自分の幸せが何であるかを知り、それを叶えられる場所を選択することだと思っています。ある人は就職活動中に働かないことを選択して、進学したり旅人になったりするかもしれません。また、働くとしても企業に入るのではなく、自分で起業したり家業を継ぐ人もいると思います。どんな決断も、当人が覚悟を持って選んだものであれば正解となるのです。しかしより狭義に、どこかの会社で勤めることを前提とした日本における新卒の就職活動に絞って、私が役立ったと思うことをシェアさせてください。

自分の幸せが何であるかを知り、それを叶えられる場所を選択するために、就職活動は3つのステージに分けられると考えます。

1. 自分の幸せを考える
2. 幸せを掴むことができそうな会社を見つける
3. 志望する会社に合格する

ただし、このステージは就職活動中に何度も行き来するものですし、その度に考え方が変わるものです。それを踏まえた上で、もし使えそうだと思えば試してみてください!

 

1. 自分の幸せとは何かを考える

私が幸せになれる条件とは、インターネットの力で社会を変革すること、若いうちから活躍できること、女性が出産後も昇進し続けられること、会社のビジョンに共感できること、楽しく自由に働くことができることなど、様々ありました。どうやってそれぞれ見つけていったのか。効果的なのは、未来の幸せを妄想することです!それを強くイメージして、叶うものだと自分に言い聞かせること。もしくは、そうなって然るべきとまで思ってしまう。普段これを行っていないと、そんなことしたってと卑屈になってしまいがちですが、一人で難しい場合は友達や信頼出来る人と語りあってみてほしいです。それだけでワクワクするでしょうし、それが実現するかもと思うと、お互いに励まし合って頑張りたい気持ちになると思います。

日本の就職活動では、自己分析がするべきこととして一番に挙がることが多いです。ただ、この段階では私はあまり必要ないと思っています。私も試していましたが、理想像を考える上で新しい視点をもたらしてくれましたが、根本的に役立ったとは思いませんでした。どうなりたいかによって、これからの振る舞い方は変わっていくのですから。

 

2. 幸せを掴むことができそうな会社を見つける

一度自分の幸せが何かを知れば、次にすべきはそれを叶えられそうな場所を見つけることです。これは、学生生活を通じて社会の動きや成り立ちを知っているか否かで、大きな差が出るところです。就活を早めに始めた方がいいというのは、多くの学生は社会について無知で限られた選択肢しか知らないからだと思います。

 つまり、ここから先は情報が命です。 

私は、そもそもビジネスとは、会社とは、ということから知る必要がありました。そのためには、インターネットや本で経営や業界について学ぶのが手取り早かったです。基礎を知った上で実際に理想の会社を見つけるには、選択肢を自分の頭の枠から一気に広げる必要があります。これについては、すでにその幅広い知見を持っている人の知恵を借りるのが良かったです。多くの業種と関わりのある職に就いている社員の方や、キャリア相談を受けている社員の方、ビジネスについて詳しい先生、就活を終えた先輩方などに質問するのが効率的だと思います。そのとき重要なのは、質問の仕方です。自分が望んでいることを伝えた上で、彼らが自分の選択肢を広げる答えを与えてくれそうな質問をしていました。選択肢を広げて、だいたい志望する会社に目星がついたら、あとは自分の幸せの条件と何がマッチして何が合わないかの証拠集めをします。これは会社のウェブサイトや、オンラインの口コミや記事、また、その会社の社員の方々に話を聞くことが有力です。

 

3. 志望する会社に合格する

志望する会社を見つけたときほど、冷静さと熱意を両立させることが難しいと思います。熱意は最大の武器ですが、内定を得るには戦略的になる必要があるからです。戦略的であるとは、相手が何を望んでいるかを理解し、自分がそれにいかにマッチしているかを示すことです。また、会社側は採用を通して未来を切り開いていく仲間を探しているのですから、相手にどのようなメリットや展望をもたらすことができるかという視点が特に大切になってきます。それを証拠を提示した上でうまくアピールできれば、内定は出ると考えています。

この時に実は、自己分析が効くと思います。自分を相対的・客観的に捉えることができ、自分の売り出し方が分かるようになるからです。注意して欲しいのは、自分ができること・得意なことを中心に考えるべきということです。日本人は一般的に勤勉で完璧主義だからこそ、自己肯定感が低いと思います。私もそうですが、自分のできないこと、不完全なところばかりが目につきました。しかし、それでは客観的な自己分析とは言えません。過去を振り返ってみて、ある一定レベルまでは出来ていたということすべて、或いは、他人と違うと思うところすべて、掘り起こしてみてください。いかにご自身の存在がスペシャルか気がつく時が来ます。

 

また、自己分析がここで役立つ理由として、相手にとっても自分にとっても納得感のある証拠を見つけることができるからです。私は具体例を選ぶとき、相手が納得しそうだという観点に加えて、自分が熱を込めて話せる内容を選んでいました。それがパーソナルでセンシティブな内容であっても、それを話すことが正しいと思うのであれば伝えました。そこでも、「私の気持ちを理解してよ!」とヒステリックになるのではなく、相手の質問の意図などを踏まえた上で、誠意をもって自分の考えを伝えていました。このように、冷静さと熱意の双方を利用すると、選考を進みやすかったです。

ただ、この段階は試験やGD、面接など、慣れという要因がその合否結果に大きく関わると思うので、練習が必要だと思います。私の場合は、面接は会話だと思って挑んでいて特に問題がありませんでしたが、グループディスカッションは慣れるまでに時間を要しました。なので、フィードバックをもらいながらセミナーや実際の選考過程で修正を繰り返しました。これは小手先のテクニックではなく、会社に入ってチームとして有益に働く上では必須の能力だと後から思ったので、身につけておいて良かったです。

就職活動はよくマッチングだと言われますが、What I Wantを知り、What They Wantを知った上で、アピール方法をデザインするということが大切だと思います。その方法は無数にあるので、試行錯誤しながら就活を進めてみてください。

 

現在の状況

就職活動が終わった今でも、やりたいことは何なのか考え続けています。終わった後の方が、緊張も解けてクリアに考えられるようになり、また、納得する結果を得たことから自分の未来に希望を持てるようになって、ますます大きな夢を抱くようになっています。ただ、自分はまだ何者でもないのだというコンプレックスが強いです。その点では、早く社会に出て結果を残したいと思っています。

よく学生のうちに遊んでおくよう言われますが、本を読んだり大切な人と一緒に時間を過ごして日々を楽しんでいます。就職活動を通して自分にとっての幸せを考え抜いたからこそ、幸せを感じる瞬間が身の回りにあることに気がつき、それを大切にするようになりました。

ただ、大学に入ってからアルバイトしかしていないような生活でしたので、自分の専攻である英語を学び直したり、簿記を勉強してみたり、ビジネス書を読んでみたりと、興味の向くものは全てやってしまうつもりです。学生は時間があると言われる一方で、お金のなさでどうにも難しいこともありますが、それは夢として持っておくなど将来の楽しみとして繰り越します。

 

このように、夢を描きながら幸せを噛み締め、何者でもないコンプレックスを抱える日々で、使命感が自分の中に生まれてきました。私は今まで多くの苦労を味わってきたと思っていましたが、自分は恵まれた環境に居ると思うようになったのです。日本に生まれ、平和な環境のなか裕福ではないにしても食べるものには困らず、望む教育を享受できて、就職活動でも納得のいく決断をできたということが、地球全体で見ればいかに稀有であるかと気がつきました。

幼い頃から志向が日本の外に向き、社会全体の課題が目につきやすかったため、この世は生きにくい世の中だと悲嘆していましたが、世界を自分がリードすることで、良くなることもあるのではないかと思えてきたのです。素晴らしい会社と出会い、そこで働くというチャンスを与えて頂いているなら、それを最大限に活かすべきだと思っています。

これは、私が夢を語るようになってから、ビジョナリーな人と話す機会が増えた影響でもあると思います。彼らと話していると、自分の夢も叶うのかもしれないと思えて来るのです。これからも自分の夢を想像し続け、社会にそれを実現していきたいと考えています。

 

将来の夢

私は今、人生のテーマとして夢を3つ描いています。

「女性の社会進出を推進する」

私は、女性が出産・育児を経験した上でも生涯を通じて学習・労働できる世の中を実現させたいです。そのためにまずは、自分がそのような生き方を実践するとともに、女性が働きやすい環境を創っていきます。母になった上でどのように職場に復帰してキャリアアップをしていくのか、それが可能な職場をどのように設計していくのか、また、そのような環境をどのように社会に広めていくのかなどは、自分にとって生涯にわたって重大な課題であり続けるでしょう。

これは、自分の家系が家父長制のもとで女性が苦しんでいるように見えた経験からです。なぜ、女性も優秀なのにただ男性を持ち上げて、彼らが偉そうに振る舞うことを手伝ってあげるのがいいのだろうと憤りを感じていました。また、PMSやセクシャルハラスメントに悩まされた経験から、女性が生きやすいようになればいいのにと思ってきた経験からです。女性自らもよく知らないような、女性に特有の問題もあると気がつきました。問題を女性に限定する必要はないかもしれませんが、女性が社会、特に職場において力が弱いのであれば注力すべきだと思っています。

 

「個性が輝く教育環境を提供する」

子供も大人も、モチベーションを大切にして、それぞれ好きなこと、得意なこと、興味のあることに集中できる教育環境を提供したいです。それは、他人の期待や社会が定めた基準に従うのではなく、自分で目標や軸を設定して生涯学習を楽しむことができる環境です。そのために私は、社会の仕組みを知るとともに多様な価値観に触れながら、目の前の一人一人の幸せをどう実現できるかを考えていきます。

これは、私が学生のときに、周りが勉強をつまらなさそうなもの、何かに意欲的に取り組むことをかっこ悪い事ととらえていた経験に基づいています。私は幸いにも勉強をどう面白くできるかを知っていましたし、親は私の活動や選択を支配せずに受け入れてくれました。しかし周りには、ある親は勉強をして良い成績を取れとその面白みも語らずに強制し、ある教師は生徒に考えさせるのではなく価値観を押し付け、ある友達は自分が学びたいことがあっても家庭の事情から進学できず、たくさんの問題が横たわっていました。今の教育が抱えている問題はまた少し変わっているかもしれませんが、より良い教育を追求していきたいです。

 

「世界をフルに味わって生きる」

とにかく色々なことを経験したいです。海の波がさらっていく足の砂、愛する人の身体に響いて聞こえる声、脳まで包み込まれるお吸い物、それぞれが与えてくれる感動体験を大切にしたいのです。自分があることを経験するとき、それをどのように感じ、また、解釈するのか。素直に新鮮に世界を感じて生きていきたいです。

これは、自分がどのような人間でありたいかということについてです。経験を積むほど謙虚でいること、感謝と愛を伝えること、相手を尊重すること、どれも月並みに聞こえますが、実践するには難しいことです。これらを可能にするのは、共感だと思っています。いろいろな経験を積み、自分の中に価値の基準を育み、共感によって様々な見識を深めることで、魅力的な人物でいたいと思っています。

Posted in Essay, Student Division.